サブカル糞野郎のあの日々。「あの絵描きの人」
その日、バイト先の本屋で「Amazonで変なもの売ってる」という本を見かけて、ふと作業している手が止まった。作者はわからなかったのに、表紙の絵の作者が誰だかはすぐにわかった。そう、僕の顔見知りの絵かきの人だったからだ。
何年か前、あるバーベキュー会に参加した。主催はあるイラストレーターの方であるらしかった。そこにはダンサー、ファッションデザイナー、音楽家、ジュエリーデザイナー、何やら若手のクリエーターの人が集まっており、何を勘違いしたのか僕も混ざっていた。
その会の主催者こそ、大山美鈴さんだったわけです。
美鈴さんとは何回か連絡を取って1度共作もしたことあるのですが、凄いいい人なんですよね。とにかく魅力的な人。商売っけもないし、とにかく作るものとか人が好き。そういう人。物を作るということに、世界観を作るということを見出す天才というか、そんな感じの人。
根っからのアーティスト気質で、正直、あまり苦労なく生きてきた人なんじゃなかろうか?と思わせてくれるような、軽やかさと、ネコのような可愛らしさを併せ持った人なんですが、才能あるのは間違いないので、ほんと羨ましいひとなんですよね。
本を見つけたその時は、鬱病もまだ治っておらず、面倒を見てくれていた彼女のお掛けでなんとかやってましたが、本屋の裏方で検品や返品作業の手伝いをしていたのに、まだ映像の仕事できるかもしれないと思っていたので、少し前まで同じような世界を見ていたと思った仲間が全国流通している様を見るのはとても苦しくて、眩しかったんですよね。
でも、このあたりから美鈴さんに限らずみんながそうやって別次元に入っていって、もう今ではその残像を見ることすら許されないような感じで、あの頃の僕の20代の記憶は幻だったのかなぁなんて思います。
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